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ランタンのレストア2

今回は、前回の「チャラリ~、鼻から牛~乳~」の原因となりました・・・マニアックな「錆取り」の話しからです。恐縮です。

小生の場合、通常ランタンのタンクの錆び取りには、リン酸塩系の錆び取り剤を使用するのですが、(商品名は「花咲かG」・・オートバイのガソリンタンク用)これを使いますと錆び取り後にリン酸塩の皮膜ができ、数ヶ月の防錆効果もあるそうですので、かなり便利な錆び取り剤です。

20050831.jpg

この錆取り剤のことはインターネットのランタンのサイトで知りました。変な名前だなと思いつつ東急ハンズさんに探しに行きました。ラベルも「花咲かG」で大笑いでした。これはランタンに関係の無い錆びた物に・・色々日曜大工に使えそうですので、ご参考に・・っていらないですね!こんな情報・・・。

まずタンクの中を、台所からこっそり運び出した食器用洗剤で洗って、油分や汚れを取り除きます。そして、錆取り剤を指定の濃さ20倍に水で薄めたものをタンクに投入します。

この錆び取り剤は遅効性・・と言うのでしょうか、早くても数時間、錆のひどいときは数日くらいの時間をかけて錆を取るタイプです。錆が液に溶けるんです・・・これ。

タンクの中の液を排出しますと、デロデロが一気に出てきて中が綺麗に鉄の銀色になります。(この出てきた液はろ紙で漉してまた使えますが・・)50年間の錆を取るのですから、時間がかかっても当たり前かもしれません。

ヒドイ錆びの時や、処理を急ぐ時などはトイレの掃除でおなじみのサンポールなどの希塩酸・・・酸を使う事もあります。酸で錆を溶かすと、効果は絶大ですし、反応も速く15分くらいでピカピカですが、この後は、すぐに水でよく濯ぎ、(おそらく)アルカリ系の薬剤などで中和?防錆処理をしないとすぐにまた茶色い錆だらけになってしまいます。酸ですから・・・。(最近では錆の再発が心配で、酸はあまり使っていませんが・・・。)

やはりサンポールのような酸は、タンクのように閉鎖された手の入らない物にでなく、表面の錆取り・・・例えばゴルフのクラブ・・・サンドウエッジの表面の錆取りなどのほうが、向いています。外部に使用した場合、錆取り後に表面をいじれますから、防錆の処理などが楽です。

錆取り後の状況によって異なりますが、タンク内部の元からの錆止め塗装の剥がれがひどい場合などは、念のため、さらに丁寧な防錆をします。ウレタン塗料をシンナーで薄く薄めたものを、タンクの中に入れてチャポチャポ振って内部を塗装し、少しでも錆の再発を抑えるようにするのです。

また、すぐには使う見込みの無いタンクの場合は、手間のかかる塗装よりも手を抜いて、防錆用のシリコン・スプレー(CRC556など)をたっぷり吹き付けて、保管しておきます。うーん錆取りだけでもかなりマニアックでしょうか・・。

さて、この後の工程が小生の好きな作業・・・タンクの外側の塗装です。タンクの外側が錆で傷んでいて、元からの塗装をそのまま使えないボロボロな状態の時は、元の塗装を紙やすりで削り、金属の面が露出するようにじっくり綺麗にします。塗料をはがしたタンクは銀色でピカピカです。

この作業はかなり根気がいるんですが、2時間くらい紙やすりでタンクをゴシゴシです。
道具は布ヤスリの100番や紙ヤスリ240番だけです。
全くクラフトって感じですか・・。塗装を完全に剥がすのが重要です。

塗装での大きな問題は、ガソリンタンクですから、給油の時など外側にもガソリンがこぼれて付着してしまう事です。
つまり、ガソリンで溶ける塗装では大問題なのです。
しかし、素人が考える通常のラッカーなどの塗料は、ガソリンであっという間に溶けてしまうのです。

簡単に溶けていたら、また「トッカータとフーガ」・・・鼻から牛~乳~!・・・ですから・・・。

この件を東急ハンズさんで相談しましたら、ウレタン塗装ならガソリンで溶けないですよ!!と教えられました。
ウレタン塗装・・・かつて聞いたことはありました。
本職は「ウレタンを吹く」・・と言う言い方をしていましたっけ。プロの塗装ですね本来・・。

「ウレタン塗装」というのは、ウレタンエナメル塗料の塗装で、2液性の塗料を使っています。
硬化剤を入れて混ぜてから塗る塗装・・・。

代表的な用途では、自動車のボディーの塗装や高級家具に使う高級塗料だそうです。
塗料に硬化剤を入れ、シンナーで適宜薄め、良くかき混ぜ、エアコンプレッサーとスプレーガン・・・塗装屋さんのプロが使うような道具・・・を使って塗装します。

通常のラッカー塗料の様に乾燥するという感じの塗料ではなく、硬化する、「固まる」という感じの塗料です。
硬化剤を入れてかき混ぜた後、この塗料を放置すると8時間後くらいには、かなり固まるのです。素人には難しい感じですね。
しかし良いものがありました。設備が無くてもウレタン塗装ができるスプレーが・・。

スプレー缶型で内部が2重になっており、ノズルを石などにぶつけることで、内側の容器を割ると中の硬化剤と塗料が混ぜられて使える物が販売されていました。
イサム塗料の「エアーウレタン」と言うスプレー塗料商品でした。

スプレー塗料なのに大変高価(確か1本2000円くらい)で、しかも一度混ぜると固まってしまいますので、使い切らなければ無駄になるのです。

1本でランタンのタンク3個分くらいを塗れますので、レストアするタンクを貯めておいて一気に塗装する・・・と言う感じになりました。

面倒な塗料ですが、使用してみますと効果は絶大で、艶、塗料の乗り、強さ、申し分ありませんでした。ガソリンにも溶けていないようでしたし・・。

実際、素人がウレタン塗装しようと言うのが、そもそもチャレンジなんですが・・・。なんとかできました。

塗装して乾燥・硬化後にコンパウンドと言う自動車用の磨き剤を付けたボロ布などで根気良く時間をかけて磨きますと、塗料の霧の細かい粒がならされて、本当にツヤツヤになります。
このツヤツヤは本当に美しくて・・凄いです。

高級な塗料ですから当然かもしれませんが・・・。良い塗装でした。

しかし、ここで大きな問題にぶち当たります。スプレーの色「赤」が一種類しかないのでランタンの上部にある傘(ベンチレーターと言います)とタンクの色が合わない場合があるのです・・・。

ここまできて結局、調色・・・色あわせ・・・が課題になってきました。
一難去ってまた一難です。

プロ用のウレタン塗料の小分け販売をネットで発見してしまってから、これなら茶色っぽい赤でも、小豆色っぽい赤でも、何でも色あわせができると思いました。
で、・・・・とうとう道具一式を買い揃える羽目になります。
こんな事態の方がよっぽど「鼻から牛~乳~」なんですが、ものづくりって、課題を解決できると思うと一直線になってしまいがちで困ったものです・・・。

つづく   ・・・って期待されていないですよねー。

08-31-05 15:55