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ランタンのレストア3

ランタンのレストア3
今回は期待していただいていない!?第3回・・ランタンの塗装です。つまらない話?で本当にすみません・・・。

前回は色あわせ・・・これが課題で簡単なウレタン塗料のスプレーから本格的なガン吹き塗装・・・になっていくところでした。

インターネットで探せばあるもので、プロ用ウレタンエナメル塗料の小分け販売をしてくださる塗装屋さんのプロっぽいサイトを発見し、赤・黒・青・黄・緑と100CC単位のものを買い揃え、調色スタートです。(おもしろ塗装工房・塗装屋ドットコムさん)

これですと赤にほんのちょっと黒を・・・とか可能ですし、色の3元、赤青黄色があればかなりの色を作れます・・・。

小生は「暗めの赤」を作りました。
赤は赤で、大して変わらないと言う意見もありますが・・・。

で、道具です。エアスプレーガンとエアコンプレッサーを購入しました。これもピンキリです。エアースプレーガンは3千円くらいから1万7千円(もっと上もありますが)くらいまでが普通です。

圧縮空気を作るコンプレッサーはモーターとピストンと空気のタンクでできていて、素人用で2万から3万。(プロ用は20万とか)

小生はこのエアコンプレッサーもスプレーガンも数点購入に失敗しています。

コンプレッサーも初めはミニサイズ(タンク8リットル)を買い・・・これはプラモデルなどの小物の塗装が限界で、ランタンには小さすぎました。

スプレーガンもやはり1万円くらいする重力式(塗料を入れるカップがスプレー本体の上にあり塗料が重さで降りてくるもの)でノズルの径が0.8mmから1.3mmくらいが良いようです。
(小生は口径0.8mmのデビルビス社のFUNという、ちょうど1万円くらいのモデルを愛用しています)
初めは安価なガンを買ったのですが、空気の量の調節ができなかったり、ノズルが大きすぎたりで、ランタンの塗装に不向きな物でした。
安物買いの銭失い・・・とは言いますが、失敗多数です。

結果として、コンプレッサーは100ボルト、1.5馬力、タンク25リットル、のオイルレスコンプレッサー(コンプレッサーは油を入れて使うものと、オイルレス仕様があります。オイルレス仕様は油の注入が不要でメンテが楽です)で落ち着きました。(2万円くらいでした)・・・マニアックな話で恐縮です。

ガン吹き塗装にはこのくらいの道具の(ホースなど含め3万円強くらい)コストはかかるのですね。

で、ウレタン塗料の赤にほんのちょっと割り箸の先に黒や青等を付けて混ぜ、ランタンに合う様に調色したものにシンナーを入れ、硬化剤を塗料の10%加えてよく攪拌して塗装します。

ランタンは古い塗料を完全にはがしてあり、それをアルコールでよく拭いておきます。アルコールで脱脂しませんと銀色の鉄むき出しのタンクに付着してしまった手の油などが、塗料をはじくことがありますので・・・。

初めてコンプレッサーを使い、勢い込んで塗った時、スプレーから出る塗料が粉っぽくブツブツになって失敗してしまいました。「なんじゃこれはー!!」とビックリしました。
憧れのガン吹き塗装は難しいものでした・・・。

粉粉回避のポイントは、シンナーの量の加減による・・ようでした。

シンナーが少ないと、どうも塗装が粉っぽくなります。空中に出た塗料の霧が、すぐにその場で乾燥して粉状になりタンクに付着する感じ?になるからでしょうか?

真偽の程はやや疑問ですが、小生の感覚では、相当シャプシャプに薄めたら、うまく行きました。薄くした塗料は、塗装中ダラダラとタレやすくなりますが、シンナーは塗料の80%から同量くらい入れると良いようなのです。

この感覚は相当驚きで、かなり思い切って薄めないとこう言う感じになりません。

塗料はかなり薄くなるのですが、塗った後、艶が良くなるように感じました。

塗装は奥が深いと思います。
いまだに、やる時によって、うまく塗装できたり、ダメだったり。
シンナーにだって夏用と冬用があるのですから・・・。

最近でも、ダレてしまう時もありますし、粉粉になる時も、まだ、たまにあります。

難しいものだけに、実力以上にうまく塗れた時は、最高の気分で、「ヤッター」という感じがします。

結果として、最近までにつかんだコツは・・・。塗装がタレても「平気」になって、そのままにしておき、全体の塗装を完了する事!!・・でした。

つまり、タレたままの塗装が乾燥して硬化したら、水研ぎ(1000番位の耐水ペーパーを平面の板などにつけて使用)して、タレた部分を平滑に取り除き、コンパウンドで磨き上げればピカピカなのです。
おー!!素人の塗装とは、仕上げで磨く事と見つけたり・・・なのだなあと言う感じです。

実際、塗装がタレずにうまく行っても、結果として、スプレーの目(ツブツブ)を耐水ペパーで軽く研いでコンパウンドで研磨仕上げをするのが丁寧で仕上がりも美しいようですので、ある意味で、タレてもタレ無くても、やる事・仕上げ方に変わりは無く、やる事は同じだ!!と気が付いたのですねー。

かくして、何とか塗装もやりまして、ランタンのガソリンタンクはレストアが進んでいきますが、その間に、ランタンの各パーツの手入れも同時進行します。

タンクからはずした燃料パイプやバルブを分解し、洗浄し、磨きます。自動車用のキャブレタークリーナーで洗浄したり、ガソリンで洗浄したり・・。錆取り液の「花咲かG」に漬け込んだりもします。

明るさを調節するバルブの部分は分解・清掃し、黒鉛のパッキンが傷んでいたら、ネットオークションなどで探して入手し、ガソリン漏れが起きないように交換しておきます。

また、このバルブの先は円錐形に尖がっていて、円錐の斜めの部分で横から出てくるパーツを上げ下げして燃料の噴出量を加減しておりますし、最後まで閉めると円形の穴のフタをするようになり燃料を止めています。
ですので、この円錐部分は燃料の加減の時からそうですし、止めるためにも締めこみますので、年中穴との摩擦や他のパーツとの擦れで痛んでいます。
特に古いランタンでは、円錐の腹の部分の周囲が、削れて傷が付いているのが普通です。
傷のひどいものでは、ハッキリと螺旋状に削れています。

valve.jpg
左から バルブの円錐形の先端です

このため小生は、このバルブ自体を電動ドリルに取り付けて、オイルストーン(油砥石)の上で回転させて研磨します。
円錐の角度が変わらないように注意しながら、傷がなくなるまで削って研いでしまうのです。
これで後々のガソリン漏れは・・安心なのです。・・・マニアックな修正ですねー・・。すみません。

タンクに空気を送り込むポンプ部(自転車の空気入れを小さくしたような物)も同じく分解し、清掃し、消耗パーツを交換します。皮やゴムでできたポンプ部のパッキンが傷んでいたりするからです。
またポンプの奥にある、空気の逆流を防止する弁部分(小さな鉄の玉が弁に使われている)も動作に不良があると、タンクの中にガソリンを噴出するための圧力(空気)を蓄えられませんので、そっくり交換することになります。こういうケースもけっこうあります。

消耗品ではジェネレーターというバルブの先に付けるガソリンを加熱気化してガス化するパイプも定番です。
これは完全に消耗品で、よく交換します(清掃で済むこともありますが)・・・。
ガソリンランタンでは液状のガソリンを燃やすのではなく、パイプの中を通るガソリンを熱でガス化した状態にし、それを燃やすのです。
ガス化するパイプの中は、ヤニ状の汚れが付きやすいようです。

lantern up s.jpg
錆び錆びのフレームの写真・・これくらいは普通のサビです

タンクの上に載る鉄製のフレームも、紙やすりや錆取りの液剤で錆を落としてから、銀色の600℃耐熱の塗料(オートバイのマフラー用など)で塗装します。
この塗料は乾燥後、オーブントースターに入れて200℃で60分加熱処理をしておきます。
耐熱塗料は塗った後、加熱処理をしないと本来の性能が発揮できないそうです。

ガラスのホヤ(グローブと言います)やホーローの傘(ベンチレーターと言います)は金属磨きのピカールなどでよく磨いて清掃しておきます。

ガソリンタンクのフタ(キャップ)も中のゴム製のパッキンもボロボロに傷んでいることが多いので、空気漏れを起こさないようにパッキンの交換をします。
この時、モデルの年代によっては、パッキンが生産終了で、現在供給されていない場合がありますので、そう言う場合は耐油ゴムの平板からポンチで打ち抜いてパッキンから自分で作ります。(まったく・・・マニアック)

これらの工程は、言って見れば、すべての部品をバラバラにして清掃し、消耗品を交換する・・・・でしょうか。

そして、いよいよ組み上げになります。

バルブの根元には自動車エンジン用のネバネバしたボンド状のシール剤(例えばホルツ社のガスケットシールなど)を塗って締め込んだり・・・。
色々注意しながら組み立てます。

と言う事で、美しく蘇った古いランタンが快調に点灯したときは、面倒と苦労が大きいだけに、こりゃまた!!大きな喜びになるのです・・・。
レストアには本当に苦労しますから・・・。
うまく行った時の感動も最高ですね・・・。お好きでない方には、何が??新品買えば??かも知れませんが・・・。

自分の生年月日と同じ年・月の生産(バースデーランタンと言います)のランタンが50年の歳月を経て、美しく蘇ると小生は妙に感動してしまうのですが・・・??????。
collection.jpg
右から2番目がバースデーランタン(50歳)です。

古いランタンには良さがあるのです。だって最近のランタンは折からの製造物責任がらみの訴訟のせい?で、WARNING!とか使い方の説明などの文字だらけ、ステッカーだらけです。

ランタンのタンク全周囲に図解入りの「取り説」や「注意」があるなんて!

それに、古いランタンは明るい・・。最近のものは安全マージンを大きくとるためか、古いものと比べると照度が落ちます・・。

こんなこと、きっと、どうでも良い事なのですが、そう言うことに拘ってしまうところが趣味なのかも知れません。

小生の実兄が仕事を引退後、田舎の古民家を買って、田舎暮らしをするとか言っております。

286 321.jpg
一つ進呈しようと思います。レストア済みのガソリンランタンを・・・。

12-27-05 12:50