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日本の経営のプライドの話

先日はカタカナ語の話で、自分も含めた日本のビジネスマンのアメリカ志向?をちょっと笑ったりしましたが・・・。
真面目な視点で見ますと、小生は「実は日本の経営って結構素晴らしくて、もっと自信と誇りを持つべきじゃないか」と言うことも考えていたりします。

確かに便利な言葉として、経営には米国流のカタカナ語が蔓延しているのは事実だと思いますが・・・。

良く耳にする言葉も本当にカタカナ語が多いです。(リアルまたはイメージ)ターゲット、プロモーション、アドバタイズィング、パブリシティー、オファー、プロポーザル、MOU、LOI、コンフィデンシャル、NDA、WIN―WIN、R&D、リサーチ、マーケティング、ROA、ROI、PER、WEB、IT、NET、INVOICE、サーバー、サイト、などなど、・・・いくらでもありますね。

商品コンセプト、開発コンセプト、コミュニケーション・コンセプト、などの開発系の言葉は自分なりに勉強したり深堀りしたりしているので、ある程度「意味」は押さえているつもりですし、カタカナ語ではあっても自分なりに精神・背骨の入った喋りに使えているのでは・・・と思います。

しかし、それにしても日本のITや企画開発の用語、ビジネスの用語は本当にアメリカ語が多いなあ・・・と感じます。

また、例えばMOUとLOIのように(メモ・オブ・アンダスタンディングとレター・オブ・インテントなんですが、直訳は「理解したよメモ」と「意志(決意)の手紙」です)使ってはいても、その内容の詳細な違いなんて未だに良くわからないものもあるのです。恥ずかしながら法的効力の差も全く良くわかりませんし・・・。

ただ感じるのは素朴な疑問です。最近の日本のビジネス社会はどうしてこんなにアメリカを見てしまったのかなーと言うことです。

コンピュータの世界やITなどがそうですが、アメリカで主要なイノベーションが行われ発展した物は、アメリカの言葉で表現しやすいのは当然だ・・とわかります。しかし、経営理念などの話はこれらとは別で、日本の伝統も十分凄い!と思うのです。

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日本が誇りを取り戻したい

アメリカの一流大学でMBA(経営学修士)を取得したりするのはかなり難しいそうですし、大変な価値だと思います。 また、仕事でも実際かなり有効に使えるだろうなと素直に感じ尊敬もします。しかしそれでも、それは仕事の理念理想や志とは異なる「知識や道具の話」なのではないか?とも思うのです。

また貿易の現場のように国際的な取引現場での現実を考えますと、英語は言語的にスタンダードだし取引用語の英語は使わざるを得ないと思います。しかし、アメリカの事業や商売の理念までもが完全に正しい・・・とは思わないのです。

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日本的経営も優れているはず

会計基準もSEC基準でした?か、米国基準がグローバルスタンダードだと聞きますが、やれ4半期の開示だ、株主利益の尊重だ、社外監査役の採用だ、社外取締役だと言ってけん制の仕組みの優秀性を唱えていたと思います。
確かに仕組みとして旧来の日本のシステムより客観性・けん制の効果・信頼性が高いかな・・・とは思います。が、それでも、大きな不正を働く企業はアメリカにも多数あった筈です。

例えば、エンロン社などは工場も持たずに、何でもネットで売ると言って、余剰電力の取引までをしていたと思いますが、「完全にはじけて訴訟だらけ?」になってしまいました。
小生もさすがにこのビジネスモデルを聞いた時は、始めから「そんなのありか?」と言うような商売だと思っていました。 「そりゃ嘘だろ?」と感じていました。

結局、経営の重要な部分は、ポリシー、マインド等であってシステムでは完全には保証できないと思うのです。

「システムは経営の補完・手伝いはできても経営の主役ではない」と言いますか、企業は結局、人だと思いますし、理想や夢といった理念的な事が、相当重要だと思うのです。

そこで、その理念的なことで言えば、最近の株主重視を真っ先に掲げる姿勢などに非常に違和感を感じます。やはり顧客重視、事業重視であるべきと思うのです。

事業がうまく行って、結果として株主の利益だと思うのです。ちょっと順番が違うだけのようで、実は仕事の仕方が本質的に違うのがこの順番だと思います。

聞きかじりなので確かな知識ではないのですが、ヨーロッパでは名門企業などは(確かネスレの話)短期の業績を開示しないとも聞きます。つまり短期業績の重視に走ると企業の舵取りが近視眼的になり、長い目で見て経営的にはマイナスであること。そこで、そう言う視点を理解し、会社を長期的視点で信頼し株式を保有してくれる方に株主になって欲しいと言い切る・・・。

この話は本当かどうか知れませんが、素晴らしくうらやましいなあ・・文化だな・・と思ったものです。

ひるがえって、私たちはもっと日本の商売・・・伝統のある日本の商売の精神的なバックボーン・・・・職人さんの仕事への誇りだったり、商いは飽きずにやりなさい、とか、利は元にありと言う教えだったり、・・・そう言うことに、もっと自信と誇りを持つべきだと思っています・・・。

もし小生が海外との取引で、有利な立場で、売り手の時、一度くらいジャパニーズスタンダードで、日本語で、日本の様式でしか契約しない・・・・などと、ふざけたことを言ってみたいと思います・・・(笑)。

ちなみに最近日本でも流行のWIN―WINなどと言う話を持ってくる相手は、小生の今までの少ない経験で恐縮ながら、大抵自分の会社の事しか考えていませんでした・・・・。

また、別の視点では、やはり製造業の尊さ・・・。工場の凄さ、素晴らしさ・・・を最近強く感じます。
仕事で電機メーカーさんを始めとする色々なメーカーさんの工場に伺う機会もあるのですが、こんなに大きな土地に工場を作り、人を育て、開発をし、「ものづくり」をされているのは本当に凄いことだ・・・としみじみと感じるのです。
そしてそのような素晴らしい会社さんの時価総額がIT系企業と比較して低いのでは・・・と絶句したりもします。やはり不自然で異様な株価を感じたりもするのです。

論点がバラバラになって恐縮ですが、やはりシステムや言葉 は便利で先進的なアメリカに学んでも、商売・ものづくりの魂は「日本」で良いのではないでしょうか・・・。

商売は担い手の心そのもの・・・のように感じるのです。自分の軸足が比較的IT的で、かつ、吹かなくても飛んでしまうくらいの零細企業なのに、こんな知った風なことを言ってお恥ずかしい限りですが、最近このような事を考えたりしております。

01-12-05 18:19