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企画開発の話(池の釣り編)

今回は、企画開発に関与してから、聞いたり学んだりしたこと、はたまた自己流に解釈したりしたこと等を書いてみます。

最近ちょっとマイブーム?なのは、複雑な企画開発の仕事の解釈を比ゆ的に言葉にしてみて、自分自身これは良いかも知れない・・・自分でも段取り用などに使えるかもしれないと勝手に悦にいっている開発の説明があります。

企画開発の仕事を魚釣りにたとえてみたら、これがハマったのです。小生の企画開発の「釣り」では、


・池を探す
・魚を研究する
・ライバルの釣り師を研究する
・とても釣れそうな独自の釣り方を考える
・それでライバル釣り師に勝てるか?
・勝ち続けられるか?
・・・こんな考え方をしています。

ご説明いたしますと、まず
池を探す・・・のは市場の事です。
できれば、その池は人知れず存在する魚影の濃い池が良いです。(*1)
しかし、なかなか、そう言う手付かずの山奥の池のような自然は、見つけるのが難しいです。 しかし、やはり、これが目指すべき最良の池ですね。

img24.jpg
(*1)人知れず存在する魚影の濃い池

そして、その池にいる魚が多いか少ないか等を調べます。これは マーケットリサーチ でしょうか。手付かずの池でも魚がいなければ事業的にはダメですから・・・。

さらに、その池の魚の生態を研究把握します。(*2)
深夜は深いところで寝ていて動いていないとか、朝方は浅瀬で泳いでいるとか、人陰には敏感ですぐ逃げる・隠れるとかで、昼間は良く餌を食うとか?何かの匂いが好きだとか・・。これは、ターゲットの研究です。言い換えたら ニーズのサーベイ でもあるのでしょうか。 これは相当に重要です。
池探しから魚の研究までが混然としている場合もあると思います。新しいニーズの仮説など、新市場ほどそうだと思いますが、池も魚も新発見なんて事もあると思います。

img25.jpg
(*2)魚を研究して独創的な釣り方を考える

で、この池の回りに釣り師はいるか?大勢か数人か?彼らはどんな釣り方をしているか?ライバル研究です。
通常はどの池にも、他の釣り師が先に釣りをしている事が多いので、彼ら先行する釣り師の研究が必要です。ライバルのベンチマーク でしょうか。比較表など作ります。

で、自分の独自性のある釣り方を考えます
(*2)ここは勝負です。アイデア です。他の先行する釣り師とは違う釣り方で、他の釣り師より釣れそうな釣り方、新しい魅力的な、画期的な釣り方(アイデア)を目指して考えます。
これはアイデアであり、商品企画です。ここで考案した釣り方は、論理的にも、確かに釣れそうだと思えるものでないといけません。後はこの、考えた釣り方が、その後どのくらいの期間、通用するか?・・・なのです。

冷静に見て、ほかの釣り師より多く釣れそうで、長く通用する釣り方、すぐに真似をされない釣り方・・・が目指すところです。(特許などで権利化できたらそれが最良ですね。)
この長く通用するかどうかは、商品企画の検証や事業性の調査とも言えるかもしれません。

で、受容性も高く、事業になりそうで、続きそうな企画だ・・・となれば、いよいよ製品化を目指して動く・・・つまり設計・生産となっていく・・・と言う話です。

自分もそうでしたから笑えないのですが、よくある話は、開発に従事したばかりの頃は大抵、この、池の話をすることが企画開発だと思ってしまうのです。
こう言うユーザーの、こう言う心理に向けた商品・・・とか企画書に書いてあり、それが具体的には何なのかが書いていない企画書を良く見ます。

つまり魚の研究までは少々あるのですが釣り方・・・アイデア(企画)自体が書いていないのです

魚の生態からして、釣り師が姿を見せずに電動リールで針をいっぱい付けて、離れた場所から投げて、そっと引いたら釣れるとか、いっそ針をやめて、池のあっちとこっちで電極に電流を流し痺れさせて一網打尽にするとか・・・そういう釣り方が知りたいのです。独自の釣り方を考えたら前述のように実案や特許を出したいですね。真似をされにくいですから・・・。

ここからは実際の実務についてですが、現実の「物」の開発では、池探しや、魚の研究は日常的な問題意識でやっているような気がします。ライバルの釣り師の研究も、これと同様に、普段から何となく大まかに掴んでおく感じだと思います。
そして、核となる開発の行為は、やはりアイデアが出るかどうかと言うことだと思います。
もっと極端に言うと、アイデアが先に出て、後からそれが勝てるかどうか考える・・くらいが真実と言う気さえします。 もっとも、正攻法でやる場合もあります。

例えば今やっているコンテンツサービスの改善・リニューアル等の時です。こう言う場合、もう池は決まっています。ライバル釣り師の分析も詳細に成されているでしょう。だからこそ、こう言う場合は魚の分析が勝負です。魚の深層心理にまで近づくような仮説を発見しないと、勝てそうな・・・他社との違いができてきません。このように、実際の開発では、池の開発の話の通りの順番で物を考える訳ではないですが、やはり原則と言えば言えるのが、この「池の釣り」だと思います。
色々なテーマで開発に関与すると、こう言う応用する経験のポケットが増えてくるのだと思います

01-20-05 18:28